SoftEtherとは?(1)
「SoftEther(ソフトイーサ)」は、VPNを構築するためのソフトの名称です。
ちなみに、これまで紹介した「IPSec」とか「SSL-VPN」は、技術自体の名前ですので、これらのVPNを使う場合には、それぞれに対応したソフトウェアを利用する必要があることを覚えておいてくださいね。
さて、SoftEtherは比較的最近出てきたソフトなんですが、技術的にとても興味深いので、当初から注目されてました。
何が興味深いかというと、SoftEtherでは、LANカードをソフトウェア的にエミュレートすることができるんです。
エミュレートとは、ある機能を別の手段で再現することです。
最近ゲーム機をパソコン上で使えるソフトがありますよね?
あれはエミュレーターと呼ばれてますよね。
つまりSoftEtherをPCにインストールすると、PCに「仮想LANカード」ができます。
また、SoftEtherは、スイッチングハブ(以下ハブ)をエミュレートすることもできます。
これを「仮想ハブ」といいます。
この「仮想LANカード」と「仮想ハブ」で通信を行うというのがSoftEtherのスタイルです。
これの何が良いかというと、普通は、PCを複数台繋ぐときには、物理的にハブに対してLANケーブルを接続する必要があると思います。
これだと、物理的に同じハブに接続しないといけませんよね?
だから、必然的に遠くにあるPC同士を同じハブに接続することができません。
でも、SoftEtherを使えば、「仮想ハブ」をインターネット上に配置すれば、「仮想LANカード」の接続先をそのインターネットの「仮想ハブ」に向けるだけで、離れた場所にあるPC同士がまるで同じハブに接続しているように通信を行うことが可能なんです。
以下のようなイメージですね。
「PC1」 <---(VPN)—> 「仮想ハブ」 <---(VPN)—-> 「PC2」
例えば、会社のPC1が会社にあって、PC2が自宅にあっても、SoftEtherをそれぞれにインストールすれば、「仮想ハブ」を介して自由にファイルのやり取りなんかができるわけですね。
条件としては、「仮想ハブ」として動作するPCが、PC1とPC2から接続可能だということだけです。
しかも通信はVPNを使ってトンネル化・暗号化されているので安全です。
こんな便利なSoftEtherですが、便利であるがゆえに、問題点もあります。
次回はSoftEtherの懸念点をあげてみたいと思います。