スパムメールとは?(3)
『スパムの送信方法は?』
スパムメールの話をするとき、「踏み台」「不正リレー」「第三者中継」という用語を聞いたことはないですか?
これはスパム送信者が、自分とは関係のない他の組織のメールサーバ(以下SMTPサーバ)や、個人が設置しているSMTPサーバを勝手に利用することです。
簡単にSMTPサーバの概要を説明しておきますね。
例えば、A社が設置しているSMTPサーバAは、管理するドメイン名が”mecha-security.com” だとします。
その場合、SMTPサーバAに届いたメールは、送信元アドレス(From)のドメイン(@マークの後ろ)が”mecha-security.com”とつくものであれば、宛先(To)が外部のアドレスでも送信を許可します。
また、送信先(To)のドメインが”mecha-security.com”であれば、自分が管理するメールであると判断して、受け取って各ユーザのメールボックスへメールを保存します。
もし送信元ドメインが”aaaa.com”であるスパム送信者が、A社のSMTPサーバーAに対して、宛先が “bbbb.com”のメールを送ろうとしても、SMTPサーバAは受け付けません。
これが第三者中継(リレー)を許可していないという意味で、最近のSMTPサーバはデフォルトでこういう設定になっています。
でも、昔は便宜上こういった使い方もされていたので、中にはそういった利用方法が可能になっているサーバーや、設定ミスのせいで、第三者中継が許可されている場合があります。
スパム送信者は、こういうサーバをインターネットで探して、スパムの送信に利用するというわけです。
なぜ第三者中継をする必要があるかというと、スパム送信者は自分の身元を明かしたくないからです。
例えば上記A社のSMTPサーバAが、第三者中継が可能な設定になっていた場合、スパム送信者がSMTPサーバAを中継に利用すると、メールのヘッダ情報に、SMTPサーバAの情報が追加されます。
具体的には「Received:」ヘッダにSMTPサーバAのホスト名が書かれるわけなので、受信者から見ればSMTPサーバAがスパムの送信元サーバに見えるというわけです。
ちなみに、実際に大量なメール送信を行うためのプログラムは「スパムウェア」と呼ばれています。
スパムウェアの中には、自分自身でSMTPサーバの機能を持っていて、しかも上記の「Received:」ヘッダなども詐称する機能ももっている場合があります。
ですので、こういうものを使えば、第三者中継をしなくても、身元を隠したスパム送信が可能となるわけですね。
また、最近では、ボットに感染したゾンビPCもスパムの送信用として利用されています。